Vin-shu 2019 「ether」

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- ether -

●古代人の想像した天空を満たす精気。アリストテレスが四元素説を拡張して提唱した、空気、土、火、水に続く、五番目の、そして最も高位の元素。すべての天体を構成する物質であると信じられていた。19世紀以前の物理学で、宇宙空間に存在し光を伝える働きをすると考えられていた化学物質。かつて、すべての空間を充填し、電磁波の伝播を支持すると考えられた媒体。

●ジエチルエーテルが発見された際に、その高い揮発性を「地上にあるべきではない物質が天に帰ろうとしている」と解釈されたことから、古来天界の物質として考えられていたエーテルの名を援用して名付けられた。

●複数のフィクションに登場する架空の薬品。人間のマジックポイントを回復するアイテムとして扱われる事が多い。

●エーテル結合-O-で2つの炭化水素基が結合した化合物であり、一般に中性で快香のある揮発性の液体

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今年は個人的には難しい年でした。一部圃場で梅雨時期の連続降雨や気温などの条件により灰カビ病が一気に広がりたくさんの房を落とさなければならず、そこからべと病のダブルパンチで収量、熟度ともに思い通りにはいきませんでした。今年も最後まで農薬、ボルドー液無散布で臨みましたが、今後の課題を残す事となりました。 それでも1年目からお世話をしている無農薬無肥料の畑は最後まで成熟し、希望を与えてくれました。

9月27日に収穫。2014年を彷彿とさせる完熟果と未熟果の混醸。除梗破砕後、低温で5日間スキンコンタクト。発酵直前にさっと絞りました。初盤の緩やかな発酵から中盤〜後半の旺盛な発酵。当初ペティアンを造るつもりで発酵後期に瓶詰め予定でしたが、そのまま発酵が終了するまで見守り、静置澱引き後、瓶詰めしました。野生酵母での発酵、補糖補酸なし、仕込、瓶詰め時の亜硫酸不使用。畑の全てをぶどう以外何も加えず、在りのままボトルに詰め込んだワインです。

いわゆるロゼのような色合い。有るようで無いような、こちらから探りにいかないと気付けない、喉元を通り過ぎる前に消えてゆく儚くて奥ゆかしい液体になりました。光、水を飲んでいるような、透明感があり爽やかな味わいです。疲れている時に飲みたい癒し水的なワインになりました。酒質的に物足りないと感じる人もいるかもしれません。でも100人いて1人だけでもその人の感性に響いてくれたらとても嬉しいです。

モモ、イチジクなど酸味のないフルーツの未熟果、イチゴの白い部分、
フローラルとシトラスの混成、ベルガモットなど。抜栓数日するとミカンなどのニュアンスも。
お食事や集まりの最初の一杯目、サラダなどの前菜などに寄り添ってくれると思います。

アルコール度数、酸度を考えると新酒としてフレッシュなうちに飲んだ方が良いと思いますが、春の桜の時期まで待ってみるのも良いかもしれません。その後も瓶熟でどのように変化するのか見てみたいワインです。

ラベルデザイン :QOTAROO https://www.instagram.com/qotaroo/